ENJOY アメリカ・ニューヨーク 日系情報誌連載エッセイ集

アメリカ・ニュージャージーで過ごした生活の中で私が見ていた景色

ENJOY 2008 にほんごの会

にほんごの会

 

海外での子育てで課題となるひとつ、「いかに日本語を子供たちに教えるか」ということがあります。日本人同士の夫婦でも海外生活となると周りの環境がどうしても英語、家で親が話す日本語だけで十分だろうかと考えるでしょうし、ましてパートナーが外国人となったら、これは結構大きな課題です。我が家もそれにもれず、主人が日本語を全く解さないアメリカ人。夫婦間の会話はもちろん英語なので、我が家で日本語の会話というものは存在しないのです。

 

ひとつの方法として、プレイデート。同じ年齢の日本人の子供たちと遊ばせることで遊びの中から言葉を学んでいきます。

あとは日系の幼稚園、学校に入学させるということもあります。組織の中で、組み込まれたプログラムから言語を学んでいくことになります。

そういったことをあわせた場はないのでしょうか。日本人の多く住む地域ではあるのかもしれません。では、そういう地域以外に住んでいる場合は無理ということでしょうか。

 

だったら自分たちでやっちゃいましょう、と始めたのが「にほんごの会」。代表の竹永さんに聞いたところ、「近所での集まりですよ」と言われました。「0-4歳の子供が継承語としての日本語を学ぶとき、主に家庭、そして、日系の幼稚園などがあります。そして3つ目の場として始めたのが、近所の仲間との集まり。プレイデートもひとつですが、プレイデートだと3歳児くらいになるとどうしても英語が混じってきたり、英語で話す子も出てきます。そこにプログラムを加え、日本語のみの時間としたのがこの“にほんごの会”なのです。」

 

「にほんごの会」が行われているのはEssex countyのBloomfieldにあるパブリック図書館。私はその隣町に住んでおりまして、息子が生後3週目に越してまいりました。この地区にいる日本人は私だけ、と息子が1歳半になるまで信じておりました。周りはみんなアメリカ人、孤独な子育てでした。息子に日本語での会話を聞かせる機会がありませんでした。かといって、車で遠くまでプレイデートに出かけるのも大変でしたし。まさか日本人の子供たちと近所で遊ばせることができるなどと思ってもいませんでした。

 

本屋さんなどでも日本語での読み聞かせはやっています。では、この「にほんごの会」はそういったところとどこが違うのでしょうか。

「近所です。遠くの人は毎回来れないでしょう。となると来る人は近所の人たちで固定してきます。その良さは毎回顔を合わせるからお互いによく知り合っています。だから、その子供たちにあったプログラムを組めるのです。みんなに合わせたプログラムというのは一般的だけど、幅が広すぎて深いところまで届かない。そういった意味では半オープン、半クローズです。誰でも来ていいんだけど、実際には近所の固定客型なので。」

 

絵本の読み聞かせ、紙芝居、折り紙、かるた、手遊び、こういったことを通して近所の仲間と一緒に、プロとは違う、ママたちのぬくもりで子供たちに日本語を伝えていくことは、まさに家庭に根付くバイリンガル教育となるのではないでしょうか。

Bloomfield近辺の方、遠くにお住まいで「自分たちでもこういうのやりたい」と思われる方、またかつての私のように「孤独な子育て」をしていらっしゃる方、竹永さん(nynuts@gmail.com)まで連絡してみてください。